柊マグネタイト『フェイクマリッジ』考察|百合要素・依存関係・歌詞・MVの真意を解説


今回は柊マグネタイトさんの「フェイクマリッジ」を考察します。

重音テトSV×宮舞モカという組み合わせで聴くと、ただの恋愛曲にとどまらず、“本物になれない愛”をめぐる切実なドラマが立ち上がります。

とくに百合的な視点で読み解くと・・・

  • 同性では結婚できない
  • 言葉にできない愛を身体のぬくもりで確かめる
  • 本物じゃなくてもいいから繋がっていたい

といった、痛みを抱えた依存の関係が鮮明に浮かび上がります。

この記事では・・・

  • 「百合として読み取れる理由」
  • 「テト視点/モカ視点の違い」
  • 「歌詞に散りばめられた“偽装結婚”の構造」

これらをわかりやすく解説していきます。

この曲に感じた“危うさと美しさ”を、もう一歩深く味わいたい方に向けた考察です。




歌詞


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作詞作編曲MIX&Mastering / 柊マグネタイト様
歌/重音テトSV×宮舞モカ

総括

 これは“本物になれない愛”を、二人が互いに依存しながら成立させてしまう物語

この曲「フェイクマリッジ」は、タイトル通り“偽装結婚”をテーマにした、危うくて純粋な愛”を描いています。

重音テトSV×宮舞モカというペアを想定して聴くと、

  • テト=積極的で依存度が高い側
  • モカ=受動的で、曖昧な返事しか返さない側

という構図がとても浮かびやすいです。

全体を通して描かれるのは、

本物じゃなくてもいい。本当に愛されていなくてもいい。それでも“繋がり”だけは欲しい

という、切なくて危険な執着の物語です。

冒頭:理性が壊れ、本能だけで相手を求める

歌詞冒頭の、

些細な理性は疾うに裂かれ
軈ては掻き乱す本能

ここで語り手(=テト視点)はすでに“判断力を失った状態”です。

冷静ではいられず、本能だけで相手に触れようとしています。

さらに、

Aが必要なら震えた指重ねて

この“A”は、

  • Answer(答え)
  • Affection(愛情)
  • Agreement(合意)

など複数に読める曖昧な表現。

つまり「答えがほしいなら、私に触れて」という危うい誘いです。

境界が溶ける=偽りの関係が“本物みたいに”錯覚されていく

溶けてく境界

慣性が敷いた交渉

ここでいう“境界”は、

  • 恋人ではない
  • 結婚もしていない
  • 本当に両思いかも分からない

といった“距離感”のこと。

それが“溶けていく”というのは、嘘の関係なのに、本物と錯覚していく危うさを示しています。

“慣性が敷いた交渉”は「惰性で続いてしまった、曖昧な関係」という読み方もできます。

サビ:触れ合うことでしか愛が確かめられなくなる“依存”

サビはひたすら身体的な言葉で構成されています

繋いでもう離さないで

これは、

  • 言葉では愛を確認できない
  • だから触れ合いが“唯一の証明”になる

という依存関係を描いています。

中盤:本物の愛じゃなくてもいいと思い込み始める

ここが曲全体でもっとも危険なポイント。

届かなくても(いいの)

本当じゃなくても(いいよ)

本当に愛されているかどうかよりも、“今そばにいること”が優先されてしまっている状態。

準備なんか待ってはいられないわ

恋愛のステップも関係なく、“疑似的な結婚生活でいいから繋がりたい”という衝動が表れています。

妄想とスキンシップで埋める「フェイクの結婚生活」

甘い関係は嘘に紛れ

飽くまで遊迷に描く妄想

現実では“本物になれない愛”を、妄想と身体的なつながりで補っている描写です。

耳を澄ませば触れる鼓動と空気

倖せは揺らして重く降らす涙迄

幸せを感じるほど、“それが偽りの関係だ”と思い出して涙が落ちる。

幸福と痛みが同時に押し寄せるエモさが強く出ています。

後半:フェイクを“本物にしよう”とする決意へ

咲いた理想は雨に濡れて
何処にも行けないなら本望?

理想の恋が叶わないことは分かっている。

でも、二人だけの世界で完結するならそれでもいい、という諦念と覚悟。

私の手を握って

冒頭のフレーズを繰り返し、依存の始まりが“依存の完成”へと着地する構造になっています。

視点別で見ると、二人の関係がより鮮明になる

重音テト視点

テトはこう感じています。

  • 「私は、あなたが本気じゃなくてもいい」
  • 理性を捨ててでも繋がりたい
  • 言葉で確かめられないぶん、“触れること”だけが唯一の安心材料
  • 本物じゃなくても、偽物でもいい
  • 答えを急ぐのは、“この関係が止まるのが怖い”から

つまりテトは、「私だけでも本気なら、それでいい」と突き進むタイプの愛です。

宮舞モカ視点

モカの感情はもっと複雑です。

  • 強く求められるほど、言葉を返せなくなる
  • 本気とまでは言えない葛藤がある
  • でも、テトを拒絶できない
  • そばにいると安心してしまう
  • “甘えている”自覚がある

つまりモカは、「あなたほど愛せてはいない。でも離れたくない」

という矛盾の中で揺れています。

百合(レズ)解釈は非常に自然で、有力な読解のひとつ

 ここからは、あなたが求めていた“百合解釈”について整理します

同性同士では結婚できない=常に“フェイク”になってしまう関係

「フェイクマリッジ」は“嘘の結婚”という意味ですが、同性同士では制度上“結婚できない”ため・・・

  • 本当は結婚したい
  • でも法的には不可能

・だから二人だけの中で“偽装の結婚”を作る

という構図と強くリンクします。

「本物じゃなくてもいい」という歌詞が同性婚不可の現実に刺さる

届かなくても(いいの)
本当じゃなくても(いいよ)

ここはまさに・・・

  • 社会的には“届かない”関係
  • 法的には“本物にできない”関係

という状況に重ねると、痛みが一気に増します。

言葉にできないからこそ、触れ合いだけが愛の証明になる

震えた指重ねて

触って

ぎゅっと抱きしめて

繋いでもう離さないで

同性恋では、外で恋人と言えない状況がまだ残っています。

だからこそ“触れ合う瞬間だけが真実”になるという現象が起きる。

歌詞はまさにそれを描いています。

“外の世界の境界”が溶けないまま、二人の境界だけが溶けていく

「溶けてく境界」

外の世界では境界(差別・制度)を越えられない。

でも二人の内側だけでは境界が消えていく。

これ、同性カップルの切実な構造そのものです。

「本望?」という一言の重みが百合解釈で倍増する

「何処にも行けないなら本望?」

未来が保証されない恋。

それでも“一緒にいられるなら本望”という痛み。

百合的な文脈だと、この一行が深すぎるほど刺さります。

まとめ

 百合解釈はむしろ“最も理にかなった読み方のひとつ”
  • 本物になれない愛
  • 社会に認められない関係
  • 触れ合いだけが証明
  • 二人だけの結婚生活
  • 依存と孤独で結びつく
  • 境界を越えられない痛み
  • 嘘でも一緒にいたい

これらすべてが「百合の痛み」と相性抜群です。

もちろん公式設定とは無関係ですが、曲が描く感情の構造を読むうえでは、“同性同士の、結婚できない恋”という視点は極めて自然で説得力のある解釈です。

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