
今回は音声合成ソフト「重音テト」について解説していきます。
2008年に誕生した重音テトは、長い歴史を持つ“伝説級”のキャラクターです。
近年は「重音テトSV」を使った数々の名曲が投稿され、再び注目を集めています。
今では初音ミクにも並ぶほどの存在感を誇り、ボカロ界を支える重要なキャラクターの一人になりました。
この記事では、そんな重音テトの誕生秘話から人気の理由、そして最新のSV版までを一気に紹介します!
重音テトの誕生
当時、2ちゃんねるでは「架空のボーカロイド作ってニコ中釣ろうぜ」というスレッドが立ち上がり、
“ニセのボカロを作ってみよう”というユーモア満載の企画が始まりました。
そこから生まれたのが「重音テト」。
性別はキメラ、年齢31歳、軍服姿というクセの強い設定で、2008年4月1日に公開。
クリプトン社の公式サイトを模したフェイクページや、加工された音声サンプルも作られ、
見事に“本物っぽい”エイプリルフールネタとして話題になりました。
ファンによって“本物”になったテト
エイプリルフールの企画が終わったあとも、ファンの熱は冷めませんでした。
「せっかくだから歌わせてみよう!」という流れで、音声合成ソフト「UTAU(歌う)」で本当に歌えるように開発が続けられたのです。
こうして4月6日には、重音テトの初めてのUTAUカバー動画が投稿。
以降、カバー曲を中心に人気が広がっていきます。
2008年8月には「嘘の歌姫」がヒットを記録。
初音ミクの誕生日週に投稿されたにも関わらず、週間ランキングで4位を獲得するなど大きな爪痕を残しました。
“おちゃめ機能”で伝説へ
そして2010年。
重音テトを象徴する伝説の名曲「おちゃめ機能」が登場します。
イラストを千さん、音源をラマーズPが担当したこの曲は、
当時のニコニコ動画で爆発的な人気を集め、ミーム的な広がりを見せました。
歌ってみた動画やMMD作品も次々と投稿され、
関連動画の再生数は合計で数千万回を突破。
重音テトは「ネタキャラ」から「本物の人気ボーカロイド」へと進化を遂げました。
一時の低迷と再びの飛躍
2012年には「吉原ラメント」や「命短し恋せよ乙女」など、
オリジナル曲のヒットが続き、UTAU界を代表する存在となったテト。
しかし2013年以降、ボカロ全体の勢いがやや落ち着いたこともあり、投稿数は減少傾向に。
2017年には年1,699件と過去最低を記録します。
それでもファンの愛は途絶えず、根強い人気を維持。
そしてついに――2023年、転機が訪れます。
重音テトSVの登場で再ブレイク!
2023年4月、ついに商用ソフト「Synthesizer V(シンセサイザーV)」版の重音テトが発売されました。
人間味のある自然な歌声になり、従来のUTAU版とは違った魅力を獲得。
発売直後からオリジナル曲の投稿が相次ぎ、
「バベル(いはさん)」「ライアーダンサー(マサダさん)」などがヒットを記録しました。
さらに、プロ作曲家・原口沙輔さんによる「人マニア」が歴代級の大ヒット。
続く「メズマライズ(さつきがてんこもりさん)」は、YouTubeで1億再生超えというボカロ史上でも異例の数字を叩き出しました。
現在の重音テトと今後の展望
2024年以降も「無責任集合隊」などヒット曲を連発し、重音テトは再び“ボカロ界のトップクラス”として君臨。
今では初音ミクと並ぶ最大手キャラクターの一人です。
UTAU出身でありながら、SV化によって再び脚光を浴びた重音テト。
まさに“ファンの情熱が本物を生んだ”奇跡の存在と言えるでしょう。
まとめ
- 2008年、エイプリルフール企画から誕生した架空のボカロ
- UTAU化によって本格的に活動開始
- 2010年「おちゃめ機能」で大ブレイク
- 2023年「重音テトSV」で第二の全盛期へ突入
重音テトの歴史は、まさにファンと共に歩んだ軌跡です。
今後も新たなボカロPによる名曲が次々と生まれていくでしょう。

