
今回は柊マグネタイトさんの「フェイクマリッジ」を考察します。
重音テトSV×宮舞モカという組み合わせで聴くと、ただの恋愛曲にとどまらず、“本物になれない愛”をめぐる切実なドラマが立ち上がります。
とくに百合的な視点で読み解くと・・・
- 同性では結婚できない
- 言葉にできない愛を身体のぬくもりで確かめる
- 本物じゃなくてもいいから繋がっていたい
といった、痛みを抱えた依存の関係が鮮明に浮かび上がります。
この記事では・・・
- 「百合として読み取れる理由」
- 「テト視点/モカ視点の違い」
- 「歌詞に散りばめられた“偽装結婚”の構造」
これらをわかりやすく解説していきます。
この曲に感じた“危うさと美しさ”を、もう一歩深く味わいたい方に向けた考察です。
歌詞
作詞作編曲MIX&Mastering / 柊マグネタイト様
歌/重音テトSV×宮舞モカ

総括
フェイクマリッジ / 重音テトSV × 宮舞モカ
YouTube → https://t.co/MF3xkK64Jn
niconico → https://t.co/eACAApfM6B pic.twitter.com/QrsgO4FEOi
— 柊マグネタイト (@hiiragi_magne) November 19, 2025
この曲「フェイクマリッジ」は、タイトル通り“偽装結婚”をテーマにした、危うくて純粋な愛”を描いています。
重音テトSV×宮舞モカというペアを想定して聴くと、
- テト=積極的で依存度が高い側
- モカ=受動的で、曖昧な返事しか返さない側
という構図がとても浮かびやすいです。
全体を通して描かれるのは、
本物じゃなくてもいい。本当に愛されていなくてもいい。それでも“繋がり”だけは欲しい
という、切なくて危険な執着の物語です。
冒頭:理性が壊れ、本能だけで相手を求める
歌詞冒頭の、
些細な理性は疾うに裂かれ
軈ては掻き乱す本能
ここで語り手(=テト視点)はすでに“判断力を失った状態”です。
冷静ではいられず、本能だけで相手に触れようとしています。
さらに、
Aが必要なら震えた指重ねて
この“A”は、
- Answer(答え)
- Affection(愛情)
- Agreement(合意)
など複数に読める曖昧な表現。
つまり「答えがほしいなら、私に触れて」という危うい誘いです。
境界が溶ける=偽りの関係が“本物みたいに”錯覚されていく
溶けてく境界
慣性が敷いた交渉
ここでいう“境界”は、
- 恋人ではない
- 結婚もしていない
- 本当に両思いかも分からない
といった“距離感”のこと。
それが“溶けていく”というのは、嘘の関係なのに、本物と錯覚していく危うさを示しています。
“慣性が敷いた交渉”は「惰性で続いてしまった、曖昧な関係」という読み方もできます。
サビ:触れ合うことでしか愛が確かめられなくなる“依存”
サビはひたすら身体的な言葉で構成されています
繋いでもう離さないで
これは、
- 言葉では愛を確認できない
- だから触れ合いが“唯一の証明”になる
という依存関係を描いています。
中盤:本物の愛じゃなくてもいいと思い込み始める
ここが曲全体でもっとも危険なポイント。
届かなくても(いいの)
本当じゃなくても(いいよ)
本当に愛されているかどうかよりも、“今そばにいること”が優先されてしまっている状態。
準備なんか待ってはいられないわ
恋愛のステップも関係なく、“疑似的な結婚生活でいいから繋がりたい”という衝動が表れています。
妄想とスキンシップで埋める「フェイクの結婚生活」
甘い関係は嘘に紛れ
飽くまで遊迷に描く妄想
現実では“本物になれない愛”を、妄想と身体的なつながりで補っている描写です。
耳を澄ませば触れる鼓動と空気
倖せは揺らして重く降らす涙迄
幸せを感じるほど、“それが偽りの関係だ”と思い出して涙が落ちる。
幸福と痛みが同時に押し寄せるエモさが強く出ています。
後半:フェイクを“本物にしよう”とする決意へ
咲いた理想は雨に濡れて
何処にも行けないなら本望?
理想の恋が叶わないことは分かっている。
でも、二人だけの世界で完結するならそれでもいい、という諦念と覚悟。
私の手を握って
冒頭のフレーズを繰り返し、依存の始まりが“依存の完成”へと着地する構造になっています。
視点別で見ると、二人の関係がより鮮明になる
【新作百合ゲーム】『私たちフェイクマリッジ?』https://t.co/pAsFpCUHQD
今までにないコンセプト
ユーザー参加型百合ゲーム
Vチューバーのような百合女神 袮々 ×
袮々に従いカップルをくっつける、導き手の天使ちゃん(あなた)Steamストアペ-ジ公開!!#wtmr2 pic.twitter.com/NPEJvGePwg
— 滝井ノアメ (@fenrirvier) October 25, 2025
重音テト視点
テトはこう感じています。
- 「私は、あなたが本気じゃなくてもいい」
- 理性を捨ててでも繋がりたい
- 言葉で確かめられないぶん、“触れること”だけが唯一の安心材料
- 本物じゃなくても、偽物でもいい
- 答えを急ぐのは、“この関係が止まるのが怖い”から
つまりテトは、「私だけでも本気なら、それでいい」と突き進むタイプの愛です。
宮舞モカ視点
モカの感情はもっと複雑です。
- 強く求められるほど、言葉を返せなくなる
- 本気とまでは言えない葛藤がある
- でも、テトを拒絶できない
- そばにいると安心してしまう
- “甘えている”自覚がある
つまりモカは、「あなたほど愛せてはいない。でも離れたくない」
という矛盾の中で揺れています。
百合(レズ)解釈は非常に自然で、有力な読解のひとつ
同性同士では結婚できない=常に“フェイク”になってしまう関係
「フェイクマリッジ」は“嘘の結婚”という意味ですが、同性同士では制度上“結婚できない”ため・・・
- 本当は結婚したい
- でも法的には不可能
・だから二人だけの中で“偽装の結婚”を作る
という構図と強くリンクします。
「本物じゃなくてもいい」という歌詞が同性婚不可の現実に刺さる
届かなくても(いいの)
本当じゃなくても(いいよ)
ここはまさに・・・
- 社会的には“届かない”関係
- 法的には“本物にできない”関係
という状況に重ねると、痛みが一気に増します。
言葉にできないからこそ、触れ合いだけが愛の証明になる
震えた指重ねて
触って
ぎゅっと抱きしめて
繋いでもう離さないで
同性恋では、外で恋人と言えない状況がまだ残っています。
だからこそ“触れ合う瞬間だけが真実”になるという現象が起きる。
歌詞はまさにそれを描いています。
“外の世界の境界”が溶けないまま、二人の境界だけが溶けていく
「溶けてく境界」
外の世界では境界(差別・制度)を越えられない。
でも二人の内側だけでは境界が消えていく。
これ、同性カップルの切実な構造そのものです。
「本望?」という一言の重みが百合解釈で倍増する
「何処にも行けないなら本望?」
未来が保証されない恋。
それでも“一緒にいられるなら本望”という痛み。
百合的な文脈だと、この一行が深すぎるほど刺さります。
まとめ
- 本物になれない愛
- 社会に認められない関係
- 触れ合いだけが証明
- 二人だけの結婚生活
- 依存と孤独で結びつく
- 境界を越えられない痛み
- 嘘でも一緒にいたい
これらすべてが「百合の痛み」と相性抜群です。
もちろん公式設定とは無関係ですが、曲が描く感情の構造を読むうえでは、“同性同士の、結婚できない恋”という視点は極めて自然で説得力のある解釈です。

