
重音テトSVの楽曲「第n次元」は、サツキ氏による哲学的かつエモーショナルな一曲です。
タイトルにある「n」という変数的な表現、そして歌詞全体に散りばめられた「意味」「信仰」「終焉」「次元」などの言葉。
この曲が伝えようとしているのは、単なる世界観ではなく、「言葉」と「存在」のあり方を問う深いメッセージです。
この記事では、「第n次元」というタイトルの“n”の意味を軸に、歌詞の流れを読み解きながら、この楽曲が描く“変化と覚悟”のストーリーを考察していきます。
歌詞
作曲:サツキ
編曲:サツキ
ギター:ヒロモトヒライシン
ピアノ:駄菓子O型
絵・動画:白ロック(X)
唄:重音テトSV
コーラス:重音テト(UTAU)
1. タイトル「第n次元」とは何を意味するのか
つまり「第n次元」とは、特定のどこかではなく、無限に広がる可能性そのものを示しています。
この曲における「n」は、固定された「世界」や「価値観」から解放された次元。
他人のルールでも、過去の自分の延長でもない、“まだ誰も踏み入れていない自分自身の次元”を指していると考えられます。
2. 歌詞に描かれる「終わり」と「再生」
【commission】
こちら サツキ様の「第n次元 / 重音テトSV」MV担当させて頂きました!
是非❤🖤 https://t.co/hCfPWcQdIx pic.twitter.com/cHcrPJ9qRA— ✞白ロック✞ (@hakurokkumain) October 10, 2025
冒頭の・・・
言葉は、意味を持って 向こう数十年間 生き続けるとしたら 此処で、何を言えるの?
という一節は、まるで“創作そのもの”に対する問いのようです。
「自分の言葉が、時間を超えて残るなら、何を語るべきか?」
これは、創作者としての覚悟を問う強烈な導入です。
中盤では「現状維持」「終点」「崩壊」「腐りきった飛び道具」など、“停滞”や“偽りの進化”を示すようなワードが並びます。
しかし、それは絶望ではなく、次の次元に進むための「壊す覚悟」の表現とも読めます。
3. 「飛ぶ」というモチーフが示す進化と解放
サツキ新曲「第n次元」
今回もピアノで参加しております!平行和音ピアノって良いので入れました
とげとげタルめいろも勝手に入れました #駄菓子nOtice型 https://t.co/kVbTN9YHcn— 駄菓子O型 (@OgataDagashi) October 13, 2025
これから、飛んで、高く飛んで
それを、絶対条件として置いておくなら、
もう、要らない荷物は捨てろ。
この部分では、“飛ぶ”という言葉が象徴的に使われています。
飛ぶ=重力(過去・常識・依存)から解き放たれること。
そして「荷物を捨てろ」とは、過去の執着や古い価値観を手放す決意の表れです。
タイトルの「第n次元」と合わせて読むと、“飛ぶ”とは、未知の次元(n)へ自ら進化していく行為を意味していると言えるでしょう。
4. 「第nの壁」を壊すということ
終盤の・・・
第nの壁、壊して次の場所へ。
というフレーズは、曲の核心です。
「第nの壁」とは、これまで積み重ねてきた“自分自身の限界”そのもの。
それを壊すことは、痛みを伴う自己変革の象徴でもあります。
そして最後に放たれる
私は、私の言葉のまま そのまま生き続けるからさ。今に見ていろ。この次元でもう、あなたとはさようなら。
という締めくくりは、他者への依存や同調からの完全な独立宣言です。
「n」はもはや数字ではなく、“新しい自分の存在そのもの”を示しています。
もしかすると、サツキさんの大ヒット曲「メズマライザー」へのアンサーソングなのかもしれません。
まとめ
- “n”は、固定されない無限の可能性
- 「壊す」「飛ぶ」は、変化と覚悟の象徴
- 終盤の「さようなら」は、過去の自分との別れ
重音テトという存在自体が“人工の声”として進化を続けてきたことを踏まえると、この曲はまさに「テト自身が次元を超えて進化していく姿」を重ねたようにも感じられます。
「第n次元」は、サツキ氏と重音テトが放つ“創作と自己の再定義”をテーマにした挑戦状なのかもしれません。


