
今日は「リバーブをかけるのが下手な人が知らない、たった一つのこと」について解説していきます。
リバーブって、意外と難しいですよね。
「リバーブは大事!」「リバーブをかけましょう!」と言われるけれど、いざ自分でやってみると・・・
- かけすぎてお風呂みたいになる
- 逆に、かけ方がわからずほぼドライなまま
筆者自身もたくさんの曲を聴いていて「もう少しかけたほうが自然なのに…」と思うことがよくあります。
今回はリバーブがうまく調整できない理由とポイントを解説します。
結論

「部屋鳴り」とは、部屋の中で音が反射して響く現象のこと。
じつは、DTMで音楽制作をしている人の多くが、この“部屋鳴り”を正しく聞き取れていないんです。
体育館やコンサートホールのような大きな空間の響きはイメージしやすいですよね。
でも、自分の部屋のような小さな空間の反響を意識したことがある人は少ないのではないでしょうか。
なぜ部屋鳴りを感じ取れないのか?
バンド活動やレコーディング経験がある人なら分かると思いますが、スタジオやライブハウスの中は「吸音処理」で音の反射を極力減らしています。
だから録音された音はとても「反射がないです。」
たとえば、の家で録っている声も、反射がほとんどなく「ラジオっぽい」音質になりがちです。
これは聞こえはクリアですが、現実的ではないんですよね。
人と会話するときに、こんなに声が“目の前”にあることってないはずです。
実際の話し声は、部屋の反響がわずかに混ざっていて、それが「自然な距離感」を作っているんです。
サンプリング音源にも“部屋鳴り”はない
DTMで使うサンプリング音源も、「基本的に反射がないスタジオ録音」です。
だから生音よりも不自然に感じてしまうことがあります。
そのため、音を“現実的”に聞かせるためにリバーブを使います。
ですが、部屋鳴りの感覚がわかっていないと、「リバーブ=ホールのような深い響き」だと勘違いしてしまうんです。
エンジニアとアマチュアでズレている“リバーブの意味”
- プロのエンジニアが言う「自然な空間を作るためのリバーブ」
- 初心者が考える「リバーブ(=ホールリバーブ)」
これはまったく違うものなんです。
この認識のズレが、「リバーブをかけても上手くいかない」最大の原因です。
そもそも音が聞こえていない?
もう一つの大きな問題は、再生機器の性能です。
安価なイヤホンやスピーカーを使っていると、リバーブの微妙な響きそのものが聞こえていません。
結果として、「リバーブがどれくらいかかっているのか」も判断できず、勘でかけてしまうことになります。
良いヘッドホンを使うと、驚くほど細かい音が聞こえるようになります。
「ここに部屋鳴りがあるな」とか「このリバーブは奥行きがあるな」といった違いがはっきりわかります。
ヘッドホンはリスニング用ではなくモニター用を使いましょう。
少し高いですが、これを使うだけでミックスの上達スピードが段違いになります。
「良いリスニング環境」は、リバーブ練習の第一歩です。
筆者おすすめのモニターヘッドホンは、オーディオテクニカのATH-M50xです。
音質は良い意味でフラットで楽曲制作に向いています。
コードを付け替えができるのでコードが邪魔になる問題も解消するのでおすすめです。
リバーブは“複数使う”のが基本
リバーブを上手く使うためには、1種類で全部を済ませようとしないことが大事です。
それぞれのリバーブには役割があり、組み合わせて使うことで自然な空間を作ることができます。
①部屋鳴りのリバーブ(ルームリバーブ)
音を自然に馴染ませるための、軽い反響を加えるものです。
ドライすぎる音(ラジオっぽい音)に、少しだけ「空気感」を足してあげるイメージです。
プリセットの「Room」タイプを軽めにかけて、「同じ部屋にいる感じ」がすればOK。
②音色的なリバーブ(ホールリバーブ)
ピアノやオーケストラを壮大に、EDMを広がりある空間に聴かせたいときに使います。
ホール型のプリセットで十分。
ただし、低音がぼやけやすいので、少しだけローカットすると良いでしょう。
③飛ばすリバーブ(エフェクト的リバーブ)
サビなどでボーカルを“空へ飛ばすように”聴かせたいときに使う幻想的なリバーブです。
自然さよりも演出重視。
プレートリバーブやディレイ併用など、思い切った処理もOK。
オートメーションで部分的にリバーブを変えると、より効果的です。
ただし、部屋鳴り系リバーブでは急な変化をつけすぎないように注意。
結局、リバーブの数値設定をいくら真似しても、聴き分ける耳が育っていなければ意味がありません。
まずは良い再生環境を整え、部屋鳴りを意識して聴く練習をしてみてください。
それだけで、リバーブの扱いが格段に上達します。
まとめ
- リバーブ下手の原因は「部屋鳴りを知らない」こと
- サンプリング音源は“デッド”だから、リバーブで自然さを補う
- 良い再生環境(例:モニターヘッドホン)は必須
- リバーブは役割ごとに分けて使う(部屋鳴り/音色/飛ばす)
「リバーブの数値を教えてほしい!」と思う人も多いかもしれませんが、数値だけを真似しても本質は掴めません。
まずは“耳”を育てて、音を感じ取る力を磨きましょう。
そこからが、リバーブ上達の本当のスタートです。


