【完全解説】可不(カフ)とは?誕生から人気曲まで|ボカロ界を変えたCeVIO AIの歴史」


今回は、タイトルにもある通り、現在ボカロ界でトップクラスの人気を誇る音声合成ソフト「可不(カフ)」について、その誕生から人気曲の推移までを詳しく解説していきます。

ボーカロイドといえば、初音ミクを筆頭に、鏡音リン・レン、巡音ルカ、GUMI、flowerなど、数多くの音声合成ソフトが登場し、年々進化を遂げています。

最近では「Synthesizer V」「CeVIO」など、AI技術を取り入れた次世代ソフトも増え、ボカロ界全体が大きな盛り上がりを見せています。

その中でも、2021年以降に圧倒的な使用率を誇るようになったのが「可不(カフ)」です。

発売前からデモソングを通じて注目を集め、リリース後は新人ボカロPから大手まで幅広い層が使用。

現在ではボーカロイド使用率ランキングでトップ5に入るほどの人気を誇ります。

「可不が誕生しなければ、ここまでボカロが盛り上がらなかった」と言われるほど、ボカロ文化に大きな影響を与えた存在です。

それでは、そんなカフの誕生から現在までの歩みを、代表曲を交えながら詳しく見ていきましょう。




可不の誕生

まず、前提として多くのボーカロイドには「元となる声」が存在します。
例えば、初音ミクは藤田咲さん、鏡音リンは下田麻美さんが声を担当しています。

今回紹介する「可不」は、同名のバーチャルシンガー・花譜さんの声を元に制作された音声合成ソフトです。


可不さんは2018年に活動を開始したバーチャルシンガーで、神椿スタジオ所属のアーティスト・カンザキイオリさんによる楽曲で注目を集めました。

デビュー当時はわずか14歳という若さでありながら、その透明感と儚さを併せ持つ歌声が多くのファンを魅了しました。

この可不さんの声をもとに、クリエイティブレーベル「神椿スタジオ」の企画で音声合成ソフト「可不」の制作が始動します。

神椿スタジオには、理芽(りめ)、春猿火(はるさるひ)、異世界情緒など、人気のバーチャルシンガーが多数所属しています。

音声開発は名古屋の大手音声合成開発チーム「CeVIO Project」が担当。
「CeVIO AI」技術を用いて開発が進められました。代表的な同プロジェクトの音声合成ソフトには「花隈千冬」「小春六花」などがあります。

ボカロファンからも大きな期待を集める中、2020年10月頃に可不の音声が「仮完成」。

A〜Cの3タイプのボイスが制作され、最終的に本人およびユーザーアンケートによって「タイプB」が採用されました。

しかし、さらなる品質向上のため発売は延期され、当初予定されていた2020年冬から2021年前半へ。そして再延期を経て、ついに2021年7月7日に「可不」は正式発売となります。

発売前のデモソング時代(2020年〜2021年)

仮完成した音声を用いて、多くのボカロPが発売前からデモソングを制作しました。
最初に投稿されたのは、2020年12月15日に見る子実さんが公開した「ナイトルール」。

可不の柔らかくも芯のある歌声と見る子実さんのセンスが見事にマッチし、大きな反響を呼びました。

その後も、ひふみさん、Polystic Piccadillyさんなど有名ボカロPが次々と楽曲を発表し、発売前からボカロ界を席巻。

特に2021年2月20日にsyudouさんが投稿した「キュートな彼女」は、投稿直後から異例の伸びを見せ、440万再生を突破。

「カフ=ヒットメーカー」という印象を決定づけた初の大ヒット曲となりました。

さらに、2021年6月5日にはツミキさんの「フォニイ」が投稿され、再び大ブレイク。


可不の声の魅力を最大限に活かしたスルメ曲として、じわじわと再生数を伸ばし続け、現在では約7000万再生を突破しています。
この2曲の成功が、可不の知名度を一気に押し上げました。

結果として、発売前のわずか7ヶ月間で21曲ものデモソングが投稿され、カフ人気は頂点へ。
まさに“発売前にしてボカロシーンを動かした存在”といえます。

発売後の活躍(2021年〜現在)

そして、2021年7月7日に正式発売。
勢いそのままに、発売直後から多くのボカロPがカフを使用しました。

7月17日にはかしこまりさんの「キャットラビング」、7月22日には水野あつさんの「生きる」が投稿され、どちらも大ヒットを記録。


TikTokや歌ってみた動画でも人気が拡大し、可不の代表曲として定着しました。

さらに、発売から2ヶ月後の8月末には、ボカロの歴史を変える2曲が登場します。
柊マグネタイトさんの「マーシャル・マキシマイザー」

そしていよわさんの「きゅうくらりん」です。


これらの楽曲は投稿当初こそ中ヒットでしたが、翌年以降に再生数が急増。
特に「九龍レトロ」は投稿1年後からさらに再生数を伸ばし続け、ボカロ歴代トップクラスのヒット曲へと成長しました。

こうして「キュートな彼女」「フォニイ」「マーシャル・マキシマイザー」「きゅうくらりん」という4曲の大ヒットが揃い、可不は名実ともに“ボカロ界の新エース”となりました。

発売から1年の間に、投稿楽曲数は4,100曲を超え、ミリオン達成曲は7曲、殿堂入りは73曲という驚異的な記録を達成。

翌年にはさらに5,200曲を突破しました。

2022年〜2023年にかけてはボカロ全体の勢いがやや落ち着き、ミリオン曲数は減少しましたが、それでも可不は依然としてトップクラスの人気を維持しています。

「可不(カフ)」の代表曲 TOP5

筆者おすすめの曲をランキンで紹介!!

🥇 第1位:「フォニイ」/ツミキ

公開日:2021年5月

概要:言わずと知れた可不の代名詞!仮面を被るように生きる“嘘の世界”を描いた一曲で、カフの中性的でウィスパーな声がドンピシャ。YouTube再生数は1億回超え! 世界中でカバーされ、まさに“可不=フォニイ”のイメージを作り上げました。静かな狂気と儚さが同居する、令和ボカロを代表する神曲です。

🥈 第2位:「マーシャル・マキシマイザー」/柊マグネタイト

公開日:2021年9月

概要:爆発的なテンポ感と中毒性のあるビートが魅力のエレクトロロック!カフの淡々とした声が、曲の暴走するようなエネルギーを絶妙にコントロールしています。「フォニイ」に続くヒットとなり、プロセカ収録で一気に知名度が拡大。
 聴けばテンションMAX間違いなしのハイテンションナンバー!⚡️

🥉 第3位:「きゅうくらりん」/いよわ

公開日:2022年6月

概要:ゆらゆらと揺れるようなリズムと、不思議な切なさが漂う名曲。“終わりゆく関係”を描いた歌詞に、カフの柔らかくも冷たい声がぴったりマッチ。静かなのに感情があふれる、まさに“いよわ×可不”の世界観の完成形です。コメント欄では「泣ける」「この声じゃなきゃダメ」と絶賛の嵐。

🏅 第4位:「キュートなカノジョ」/syudou(可不ver.)

公開日:2021年リリース(可不ver.)

概要:恋する女の子の狂気を描いた大人気曲の可不バージョン!flowerとは違い、カフの静かな声が“感情を抑えきれない危うさ”をより繊細に表現しています。可愛いのにどこか怖い、そのギャップが魅力の新解釈カバー。 syudouさんの世界観に新しい色を加えた話題作です

🎖 第5位:「化孵化(けふか)」/SLAVE.V-V-R


公開日:2023年7月

概要:幻想的でダークな世界観が印象的な、近年のカフ代表作! “変化”と“自己崩壊”をテーマにした歌詞が、カフの儚い声と完璧に調和。 重厚なサウンドの中に漂う静けさが美しく、聴くほどに深みが増す一曲です。 カフの新たな可能性を感じさせる、アート性の高い名曲。

まとめ

可不の発売からまだわずか数年ほどしか経っていないにも関わらず、ここまでの活躍を見せている音声合成ソフトは他にありません。

その柔らかく、儚く、そしてどこか人間らしい声質は、多くのクリエイターにインスピレーションを与え続けています。

これからも、可不を使用した新たな名曲の誕生に期待したいですね。

今回紹介した楽曲の一部は概要欄にもリンクを掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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