
DTMでボーカルや楽器をミックスしているとき、「なんか浮いて聞こえる」「プロっぽい響きが出ない」と感じたことはありませんか?
その原因の多くは、実は“リバーブの使い方”にあります。
リバーブは、音に「空間の響き」を与える重要なエフェクト。
うまく使えば、ボーカルが自然になじみ、曲全体のクオリティが一気に上がります。
しかし、かけすぎると音が埋もれてしまい、逆にクオリティを下げてしまうことも…。
この記事では、初心者がつまずきやすい「リバーブの基礎」と「正しい使い方」をわかりやすく解説します。
読み終わるころには、あなたも“プロのような自然な空間づくり”ができるようになりますよ。
そもそも「リバーブ」って何?
意外とパッと答えられる人は少ないんです。
多くの人が「カラオケのエコーみたいなやつ」と答えますが「実はリバーブとエコーは別物」です。
たとえるなら・・・
- リバーブ=カフェラテ
- エコー=コーヒーゼリー
同じ“コーヒー系”でも、口当たりも広がり方もまったく違います。
リバーブは「全体にふんわり広がる」、エコーは「ポンポンと跳ね返る」イメージです。
具体的に説明すると・・・
- リバーブ=山にこだまする声の“響き全体”
- エコー=やまびこの“返ってくる声”
リバーブは空間全体に残る“余韻”、エコーは時間差で返ってくる“反射音”です。
▼参考音源:カエルの合唱 歌、初音ミク
・リバーブなし
・リバーブあり
リバーブの正体
リバーブとは、「特定の空間の響きを原音にくっつけるエフェクト」です。
たとえば、あなたが6畳の部屋で声を出したときと、体育館で声を出したとき。
響き方が全然違いますよね?
この「空間ごとの響き」を人工的に再現して、原音に加えるのがリバーブの役割です。
つまり、どんな場所で録った音でも、後から“別の空間”で録ったように加工できるというわけです。
6畳間で録ったボーカルを、まるでアリーナで歌ったかのように仕上げることも可能です。
補足
多くの人が「リバーブをかけると原音が広がる」と思っていますが、これは間違いです。
正しくは、原音はそのまま残り、その“後ろ”に残響音がくっつくというイメージ。
この「くっついている」という認識を持つことで、リバーブの調整が一気に上達します。
リバーブのメリットとデメリット

メリット①
リバーブをかけると、ボーカルが自然にオケ(伴奏)になじみます。
なぜかというと、オケを構成するドラムやベースの多くは「スタジオで収録された音」を使っています。
つまり、もともとスタジオ特有の響き(残響)が含まれているんです。
そこに「6畳間で録った乾いたボーカル」を乗せても、浮いて聞こえてしまいます。
だからこそ、リバーブでスタジオの響きを再現し、空間を合わせる必要があるわけです。
ボーカルにおすすめは「Plate Reverb」。
昔からボーカル用に定番で、どんな曲にもなじみやすい万能タイプです。
初心者の方はまずここから試してみましょう。
メリット②
適度にリバーブをかけると、歌が上手く聞こえます。
これは心理的にも音響的にも効果的で、空間の響きが声を自然に包み込むからです。
特に歌に自信がない人ほど、リバーブをかけることで印象がぐっと良くなります。
ただし、“質の悪い残響音”は逆効果。
音が滲んでぼやけてしまうんです。
デメリット①
ただし、リバーブには表裏一体のデメリットもあります。
それは、かけすぎるとボーカルが埋もれてしまうこと。
ボーカルがふにゃっとして聞き取りづらくなり、曲全体の迫力もなくなります。
リバーブは“控えめ”が基本です。ポイントは「ミックス値(Mix)」。
原音と残響音の割合を決めるパラメータで、たとえば20%なら原音80%+残響20%という意味です。
ボーカルにリバーブをかける場合、Mixは50%以下が鉄則。
派手にしたいときでも40%程度に抑えましょう。
なお、センドトラックでリバーブを使うときはMixを100%にしてください。
これは“DTMの鉄則”です
デメリット②
もう一つの落とし穴が、「残響音の濁り」です。
リバーブを使うと、原音のあとに“響き”が加わりますが、この残響音の帯域が整理されていないと、音がモヤモヤして全体がこもって聞こえてしまいます。
特に、低音が多く含まれたリバーブは要注意。
キックやベースの周波数帯とぶつかって、ミックス全体の抜けが悪くなってしまうんです。
これを防ぐには、リバーブの後段にEQ(イコライザー)を入れて、低音をカットするのが基本。
100〜200Hz以下を軽く削るだけでも、驚くほどスッキリします。
また、高音を少しだけ削ると「耳障りな残響」も抑えられ、より自然で心地よい空間を作ることができます。
サイドチェインコンプで「残響のかぶり」を防ぐ
これを解決するのが「サイドチェインコンプレッサー」。
リバーブのトラックにコンプレッサーを挿して、ボーカルの原音をトリガーに設定します。
そうすると、ボーカルが鳴っている間だけリバーブの音が軽く圧縮され、“次の音にかぶらない自然な残響”を作ることができるんです。
さらに、リバーブの後段にイコライザーを挿して低音をカットしておくと、残響音がスッキリしてより明瞭になります。
まとめ
リバーブを上手に使うコツは・・・
- 原音を変えずに“空間をくっつける”
- Mix値を控えめにする
- サイドチェインやEQで残響を整える
この3点を意識することです。
少し難しい内容だったかもしれませんが、リバーブの本質を理解すれば、あなたのミックスは確実にワンランク上がります。
ぜひ何度も読み返して、自分の耳で“理想の空間”を作り上げてみてください。

