【DTM初心者向け】ミックスで失敗しないパンニングの基本と3つのコツ

DTMをしている皆さん、「パン振ってますか?」

「パンって何?」という方もいれば、「知ってはいるけど、正直よく分かっていない」という方も多いと思います。

しかし実はこのパン=パンニング(Panning)は、DTMにおいて絶対に無視できないほど重要な要素なんです。

パンニング次第で、楽曲のクオリティはガラリと変わります。

逆に言えば、パンニングが適当だと「なんか素人っぽい」「バランス悪い」と感じられてしまいます。

この記事では・・・

  • パンニングとは何か
  • その具体的なやり方

この2点をDTM初心者でもわかるように丁寧に解説していきます。

参考音源として初音ミクで「カエルの合唱」を打ち込み、Before/Afterを聴き比べられるようにしました。




パンニングとは?

 3つの例で説明します
  • ゲーム
  • ライブステージ
  • 映画

例1 3Dゲームの「音の方向」を思い出してみよう


まず想像してみてください。

FPSやRPGなど、3Dのゲームをプレイしているとき。

敵が右側から近づいてくると、イヤホンやヘッドホンの右側から銃声や足音が聞こえますよね。

あれがまさにパンニング(Panning)です。

音を左右どちらにどれくらい振るかを決めることで、「音が空間のどこにあるか」を再現しています。

DTMでも同じで、楽器ごとに“位置”を設定することで、立体的で聴きやすいミックスを作るんです。

例2 ライブステージの配置にたとえる


ライブハウスのステージを思い浮かべてください。

真ん中にはボーカルとドラム、左にギター、右にベース――そんな並びを見たことがありますよね。

実は、DTMのパンニングはその「ステージ上の位置決め」と同じです。

ドラムやボーカルを中央に置き、ギターやキーボードを左右に振ることで、リスナーの耳の中に「バンドがそこにいるような立体感」が生まれるんです。

例3 映画館のサラウンド音響にたとえる


映画館でアクション映画を観ていて、車が左から右に走り抜けるとき、音も一緒に左右へ動いて聞こえますよね。

あれもパンニングの一種です。

音をどの位置から出すかをコントロールして、映像の臨場感を高めています。

DTMでも同じように、パンニングを使って音の「位置」や「距離感」を演出することで、まるでステージやシアターの中にいるようなサウンドを作れるんです。

パンニングで楽曲の印象はどう変わるのか?

 例えば、ギターを左右に振り分けたミックスを聴くと、音が広がって立体的に感じられます

逆にパンの幅を狭くすると、全体が中央に寄って窮屈に聞こえます。

つまり、パンニングは音の空間をデザインする作業なんです。

どの楽器をどこに置くかで、聴きやすさ・迫力・奥行きがまったく違ってきます。

参考音源 曲:カエルの合唱、歌:初音ミク

 パート:ボーカル、ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ストリングス

●未加工(Before)

●ミックス後(After)

未加工の音源は、すべてのパートがセンターにありますがミックス後の音源は、パンニングしたので左右に広がりがあります。

未加工:全パートセンターに配置
ミックス後
センター:ボーカル、ギター、ベース、ドラム(キック、スネア)
LとRに配置:ギター、ピアノ、ストリングス

鉄則その1 センターは固定

 キック・スネア・ベース・メインボーカルは「真ん中」に置く

まず最初の鉄則は、キック・スネア・ベース・メインボーカルは中央(センター)に配置すること。

なぜなら、この4つは楽曲の「軸」になる音だからです。

「音楽の三大要素=リズム・メロディ・ハーモニー」に当てはめて考えると・・・

  • リズム:キック・スネア・ベース
  • メロディ:メインボーカル
  • ハーモニー:ボーカル+ベースの重なり

このように、すべて楽曲の中心にあるべき存在なんですね。

真ん中に置くことで、聴き手は自然で安定した印象を受けます。

鉄則その2 住み分けの距離感

 近い帯域の楽器は「離す」

2つ目の鉄則は、近い帯域(似た音域)の楽器は離すこと。

例えば・・・

  • ボーカルとギター
  • ボーカルとピアノ
  • ハイハットとアコギ
  • ストリングスとシンセ

これらは音域がかぶりやすい組み合わせです。

近い位置に配置すると、お互いの音がぶつかって濁ってしまいます。

逆に左右に離すと、それぞれの音がクリアに分離して、聴きやすくなります。

パンニングの基本は「住み分け」。

帯域が近い楽器ほど、空間的に距離をとるようにしましょう。

鉄則その3 左右のバランス

 左右はできるだけ「対称」に配置する

3つ目の鉄則は、左右対称に配置すること。

ステレオ音楽では、左右のバランスが崩れると聴きづらくなります。

極端にどちらかに寄ると、身体ごと傾いてしまうような不快感が出るんですね。

ただし、数字上で完全に左右対称にする必要はありません。

耳で聴いて自然に感じるバランスを大切にしてください。

「体がまっすぐに感じる」くらいを目安にするのがコツです。

慣れるまでミックス前に音の配置を紙に書こう

 雑でもOKです

パンニングに慣れるまでは、ミックスを始める前に「音の配置」をイラストで書くのがおすすめです。

音は耳で感じるものなので、感覚的に理解しづらい部分があります。

ですが、イラストや図で可視化すると「音の位置関係」がイメージしやすくなり、作業がスムーズになります。

ここでは、バンド編成を例にして説明しますね。

 ステップ1 センターから書く

パンニングでは、特別な理由がない限り、リードボーカル・ベース・キック・スネアはセンター(中央)に配置します。

まずはこれらの“軸となるパート”を中心に描きましょう。

 ステップ2 伴奏パートを書く

次に、伴奏パートを追加します。

ギター・ピアノ・ストリングスなどがある場合、それぞれの「幅」を意識して配置します。

  • ギター:やや広め
  • ピアノ:ギターより少し広め
  • ストリングス:思い切って一番広く

こんな感じで「横の広がり」を視覚的に描いておくと、ミックス時の方向性がブレにくくなります。

 ステップ3 全パートを合わせる

最後に、すべてのパートをまとめて配置を確認します。

ミックス前に可視化しておくことで、パン位置で迷うことがぐっと減ります。

パンニングの超おすすめ無料プラグイン


 bx_shredspread

筆者おすすめの無料プラグインがあります。

Plugin Alliance の「bx_shredspread」です。

このプラグインを使えば、パンニング効果を自動で再現できます。

たとえば、通常はバッキングギターを左右に広げるために、左右1本ずつ録音する必要がありますよね。

でも、bx_shredspread を使えば、「1本のギタートラックでも“2本でパンしたような広がり」を作ることができます。

もちろん、ギター以外の楽器やトラックにも使用可能。

しかも無料で動作も軽く、非常に使いやすいです。

筆者イチ押しのプラグインなので、まだ試していない方はぜひ使ってみてください。

Plugin Allianceに無料会員登録するだけでダウンロードできます↓
Plugin Alliance 公式サイト

まとめ

 パンニングは空間を描く作業

今回紹介した3つの鉄則をまとめると・・・

  • キック・スネア・ベース・ボーカルは真ん中
  • 近い帯域の楽器は離す
  • 左右は対称に配置する

これだけで、楽曲の空間構成は格段に良くなります。

全体のバランスが整い、すべての楽器がクリアに聴こえるようになります。

パンニングは地味な作業に見えて、実は曲の立体感と完成度を決める最重要ポイント。

ぜひ今日から、自分の曲にも取り入れてみてください!

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