
DTMをしている皆さん、「パン振ってますか?」
「パンって何?」という方もいれば、「知ってはいるけど、正直よく分かっていない」という方も多いと思います。
しかし実はこのパン=パンニング(Panning)は、DTMにおいて絶対に無視できないほど重要な要素なんです。
パンニング次第で、楽曲のクオリティはガラリと変わります。
逆に言えば、パンニングが適当だと「なんか素人っぽい」「バランス悪い」と感じられてしまいます。
この記事では・・・
- パンニングとは何か
- その具体的なやり方
参考音源として初音ミクで「カエルの合唱」を打ち込み、Before/Afterを聴き比べられるようにしました。
パンニングとは?
- ゲーム
- ライブステージ
- 映画
例1 3Dゲームの「音の方向」を思い出してみよう
まず想像してみてください。
FPSやRPGなど、3Dのゲームをプレイしているとき。
敵が右側から近づいてくると、イヤホンやヘッドホンの右側から銃声や足音が聞こえますよね。
あれがまさにパンニング(Panning)です。
音を左右どちらにどれくらい振るかを決めることで、「音が空間のどこにあるか」を再現しています。
DTMでも同じで、楽器ごとに“位置”を設定することで、立体的で聴きやすいミックスを作るんです。
例2 ライブステージの配置にたとえる
ライブハウスのステージを思い浮かべてください。
真ん中にはボーカルとドラム、左にギター、右にベース――そんな並びを見たことがありますよね。
実は、DTMのパンニングはその「ステージ上の位置決め」と同じです。
ドラムやボーカルを中央に置き、ギターやキーボードを左右に振ることで、リスナーの耳の中に「バンドがそこにいるような立体感」が生まれるんです。
例3 映画館のサラウンド音響にたとえる
映画館でアクション映画を観ていて、車が左から右に走り抜けるとき、音も一緒に左右へ動いて聞こえますよね。
あれもパンニングの一種です。
音をどの位置から出すかをコントロールして、映像の臨場感を高めています。
DTMでも同じように、パンニングを使って音の「位置」や「距離感」を演出することで、まるでステージやシアターの中にいるようなサウンドを作れるんです。
パンニングで楽曲の印象はどう変わるのか?
逆にパンの幅を狭くすると、全体が中央に寄って窮屈に聞こえます。
つまり、パンニングは音の空間をデザインする作業なんです。
どの楽器をどこに置くかで、聴きやすさ・迫力・奥行きがまったく違ってきます。
参考音源 曲:カエルの合唱、歌:初音ミク
●未加工(Before)
●ミックス後(After)
未加工の音源は、すべてのパートがセンターにありますがミックス後の音源は、パンニングしたので左右に広がりがあります。
ミックス後
センター:ボーカル、ギター、ベース、ドラム(キック、スネア)
LとRに配置:ギター、ピアノ、ストリングス
鉄則その1 センターは固定
まず最初の鉄則は、キック・スネア・ベース・メインボーカルは中央(センター)に配置すること。
なぜなら、この4つは楽曲の「軸」になる音だからです。
「音楽の三大要素=リズム・メロディ・ハーモニー」に当てはめて考えると・・・
- リズム:キック・スネア・ベース
- メロディ:メインボーカル
- ハーモニー:ボーカル+ベースの重なり
このように、すべて楽曲の中心にあるべき存在なんですね。
真ん中に置くことで、聴き手は自然で安定した印象を受けます。
鉄則その2 住み分けの距離感
2つ目の鉄則は、近い帯域(似た音域)の楽器は離すこと。
例えば・・・
- ボーカルとギター
- ボーカルとピアノ
- ハイハットとアコギ
- ストリングスとシンセ
これらは音域がかぶりやすい組み合わせです。
近い位置に配置すると、お互いの音がぶつかって濁ってしまいます。
逆に左右に離すと、それぞれの音がクリアに分離して、聴きやすくなります。
パンニングの基本は「住み分け」。
帯域が近い楽器ほど、空間的に距離をとるようにしましょう。
鉄則その3 左右のバランス
3つ目の鉄則は、左右対称に配置すること。
ステレオ音楽では、左右のバランスが崩れると聴きづらくなります。
極端にどちらかに寄ると、身体ごと傾いてしまうような不快感が出るんですね。
ただし、数字上で完全に左右対称にする必要はありません。
耳で聴いて自然に感じるバランスを大切にしてください。
「体がまっすぐに感じる」くらいを目安にするのがコツです。
慣れるまでミックス前に音の配置を紙に書こう

パンニングに慣れるまでは、ミックスを始める前に「音の配置」をイラストで書くのがおすすめです。
音は耳で感じるものなので、感覚的に理解しづらい部分があります。
ですが、イラストや図で可視化すると「音の位置関係」がイメージしやすくなり、作業がスムーズになります。
ここでは、バンド編成を例にして説明しますね。
ステップ1 センターから書く
パンニングでは、特別な理由がない限り、リードボーカル・ベース・キック・スネアはセンター(中央)に配置します。
まずはこれらの“軸となるパート”を中心に描きましょう。
ステップ2 伴奏パートを書く
次に、伴奏パートを追加します。
ギター・ピアノ・ストリングスなどがある場合、それぞれの「幅」を意識して配置します。
- ギター:やや広め
- ピアノ:ギターより少し広め
- ストリングス:思い切って一番広く
こんな感じで「横の広がり」を視覚的に描いておくと、ミックス時の方向性がブレにくくなります。
ステップ3 全パートを合わせる
最後に、すべてのパートをまとめて配置を確認します。
ミックス前に可視化しておくことで、パン位置で迷うことがぐっと減ります。
パンニングの超おすすめ無料プラグイン
筆者おすすめの無料プラグインがあります。
Plugin Alliance の「bx_shredspread」です。
このプラグインを使えば、パンニング効果を自動で再現できます。
たとえば、通常はバッキングギターを左右に広げるために、左右1本ずつ録音する必要がありますよね。
でも、bx_shredspread を使えば、「1本のギタートラックでも“2本でパンしたような広がり」を作ることができます。
もちろん、ギター以外の楽器やトラックにも使用可能。
しかも無料で動作も軽く、非常に使いやすいです。
筆者イチ押しのプラグインなので、まだ試していない方はぜひ使ってみてください。
Plugin Allianceに無料会員登録するだけでダウンロードできます↓
Plugin Alliance 公式サイト
まとめ
今回紹介した3つの鉄則をまとめると・・・
- キック・スネア・ベース・ボーカルは真ん中
- 近い帯域の楽器は離す
- 左右は対称に配置する
これだけで、楽曲の空間構成は格段に良くなります。
全体のバランスが整い、すべての楽器がクリアに聴こえるようになります。
パンニングは地味な作業に見えて、実は曲の立体感と完成度を決める最重要ポイント。
ぜひ今日から、自分の曲にも取り入れてみてください!




