
DTMで作曲をしていると、「ミックスがうまくいかない…」と感じる瞬間、ありますよね。
「音がごちゃつく、ボーカルが埋もれる、迫力が出ない・・・」
原因が分からないまま何時間もミックスをいじっていると、どんどん耳が麻痺して迷路に入りがちです。
この記事では、初心者〜中級者がやりがちな「ミックスの失敗例6選」と、その改善ポイントを分かりやすく解説します。
どれも、「ミックスが思うように決まらない」「プロの音に近づかない」と悩む人に役立つ内容です。
読めば、ミックスで気をつけるべき基本が一目で分かり、「どこをどう直せばいいか」が明確になります。
これまでなんとなく感覚でやっていたミックスが、理屈をもって整えられるようになるはずです。
あなたの楽曲が、聴いていて気持ちいい“プロっぽい音”に変わるきっかけになります。
1. 音量バランスが悪いミックス
フェーダー(音量)の調整が整っていれば、ミックスの8〜9割は完成していると言っても過言ではありません。
音量バランスとは、各楽器を「どのくらいの音量で配置するか」。
これが整っていないと、主役(ボーカル)が埋もれたり、ベースやドラムが前に出すぎて全体が崩れたりします。
ポイントは「基準を1つ決めること」。
筆者はドラムを基準にして、ドラムの音量を先に固定します。
その後、ドラムに対してボーカルはどれくらい?
「ベースはどれくらい?」と、相対的にフェーダーを上げていく方法を取っています。
この方法なら、全体の音量が「いたちごっこ」にならず、安定したミックスに仕上がります。
音量を上げすぎて0dBを超えてしまった場合は、基準が大きすぎるので全体を少し下げて調整しましょう。
補足 音量バランスの調整の手順
1:基準となる楽器を1つ決める
→まず「軸」となる楽器を選びます。おすすめはドラム。これを基準に全体のバランスを決めます。
2:基準楽器の音量を固定する
→ドラムのフェーダーを上げ下げし、全体の中で自然に聞こえる位置にセットします。ここが全体の「基準点」になります。
3:他の楽器を相対的に合わせる
→ドラムを基準に・・・
・ボーカルはどれくらいの大きさ?
・ベースはどれくらい?
というように、相対的な音量で調整していきます。
4:全体のバランスを確認する
→主役(ボーカル)が埋もれていないか、ドラムやベースが出すぎていないかをチェックします。ここで「音の前後感」を意識するのがポイントです。
5:マスター音量を確認・調整する
→最終的に全体の音量が0dBを超えていないか確認。もし超えていたら、基準(ドラム)の音量が大きすぎるので全体を下げて再調整します。
2. 帯域がかぶっているミックス

たとえば・・・
- ベースとバスドラム(低音域)
- ボーカルとピアノ(中音域)
などは、どうしてもかぶりやすい組み合わせです。
この「帯域のかぶり」を放置すると、音が濁って聞きづらくなります。
解決策は簡単で、どちらかが少し遠慮することです。
たとえば「ボーカルとピアノ」がかぶっているなら、主役であるボーカルを優先し、ピアノの中音域をEQ(イコライザー)で2〜3dBほどカットしてあげましょう。
これでボーカルが前に出て、音に立体感が生まれます。
ただし、やりすぎは禁物。
6dB以上削るとピアノの魅力まで消えてしまうので、控えめにカットするのがコツです。
どうしても解決しない場合は、音作りや楽器選び自体を見直すのも有効です。
パートごとに得意な帯域があるのでぶつからないように調整しましょう。
もしくは、サイトチェーンも有効です。
3. パンニング(定位)がされていないミックス
意外と軽視されがちですが、ステレオ感を作る超重要ポイントです。
オーケストラや吹奏楽を思い浮かべてください。
楽器が左右にきれいに配置されているからこそ、音が広がり、全体のバランスが良く聞こえるのです。
パンニングにも同じ理屈が当てはまります。
基本的な配置の例としては・・・
- キック・スネア・ベース・ボーカル → 中央(センター)
- ギター・ピアノ・ハイハットなど上もの → 左右に振る
原則として、センター以外の楽器は少し左右に分けるだけでも立体的なサウンドになります。
パンニングには「正解」がないので、自分の好きなアーティストの曲を分析してみましょう。
「この人はギターを右に振ってるな」「ピアノは真ん中寄りだな」など、聴き比べながら研究するのが上達への近道です。
4. ボーカルが埋もれているミックス
それなのに、埋もれてしまっている作品が意外と多いです。
埋もれる主な原因は以下の4つ
- 音量が小さい
- 他の楽器とかぶっている
- リバーブ(エコー)など空間系エフェクトのかけすぎ
- 声自体が細い
特に③の「リバーブのかけすぎ」には注意。
かけすぎると馴染みすぎて輪郭がぼやけ、どこにボーカルがいるのか分からなくなります。
エフェクトは“程よく”使うのがポイントです。
また、④の「声が細い」場合は無理に太くしようとせず、細い声の魅力を活かす方向でミックスしましょう。
儚い・繊細・透明感といった個性に仕上げれば、むしろ“武器”になります。
5. 低音〜高音までバランスよく出ていないミックス
どこかの帯域が強すぎたり、逆にスカスカだと、聴いていて心地よくありません。
特に低音が薄いミックスは迫力がなく、高音がキンキンしすぎると耳に痛く感じます。
「低音が足りない」と感じたときに、むやみにEQでブーストするのは逆効果です。
その前に・・・
- 低音を担う楽器がきちんと存在しているか
- 他の帯域が邪魔していないか
これらを確認してみましょう。
実は、ここまで紹介した4つのポイント
(音量・帯域・パンニング・ボーカル)を整えれば、自然とバランスの良いミックスになります。
6.マスタリングを考えていない
マスタリングとは音圧を整え、作品としての最終仕上げを行う重要なステップです。
実はこの段階で問題が起きる原因の多くは「ミックス時の音量設定」にあります。
ミックスの段階でマスタートラックのボリュームが高すぎると、マスタリングで音圧を上げるための“余白”がなくなってしまいます。
その結果、音が潰れたり、全体が不自然に聞こえる原因になります。
「理想的なミックスの仕上がり音量は、0dB前後。」
少し余裕を持たせておくことで、マスタリングでの微調整がスムーズになります。
また、音割れ(クリッピング)していないかの確認も必須です。
音が割れている状態は、音楽作品として致命的。
料理で例えるなら、「出された料理に虫が入っている」くらいありえないミスです。
ポイント
・ミックスの仕上がり音量は0dB前後に調整
→ マスタリング時に余白を残すため。
・音割れ(クリッピング)は絶対NG
→ クオリティ以前に“作品として成立しない”。
まとめ
- 音量バランスが悪い
- 帯域がかぶっている
- パンニングがされていない
- ボーカルが埋もれている
- 音の帯域バランスが偏っている
- マスタリングを考えていない
どれも“当たり前”に見えるかもしれませんが、意識して直すだけで音のクオリティは劇的に変わります。
ミックスは感覚と経験の積み重ね。
いろんな意見を参考にしつつ、自分の耳を育てていきましょう。
あなたの音楽がより魅力的に響くよう、ぜひ今日から実践してみてください。

