
DTMを始めたばかりの頃、「なかなか上達しない」「音がこもる」「思ったように仕上がらない」と感じたことはありませんか?
実はその原因、“やってはいけないこと”を無意識にやってしまっているケースがほとんどです。
ネットや動画では「上達するコツ」や「神プラグイン紹介」といった情報が溢れていますが、それ以前に“避けるべき落とし穴”を知っておくことが、上達への最短ルートなんです。
この記事では、「DTM初心者がやりがちなミスを5つ厳選して解説」します。
機材選び・録音・ミックスなどの基本を正しく理解すれば、遠回りせずスムーズに成長できます。
- 最近DTMを始めたけど、何が正解かわからない
- 独学でやってるけど、音がまとまらない
そんな悩みを抱えるあなたにこそ読んでほしい内容です。
それでは、「絶対にしてはいけない5つのミス」いってみましょう。
1. 入力ゲインを上げすぎない
録音したギターやボーカルの音が小さいと、ついマイクのゲインを上げて解決しようとしますよね。
しかしこれは絶対NG。理由は大きく2つあります。
①機材への負荷が大きい
入力レベルを上げすぎると「クリッピング(音割れ)」が発生し、マイクやオーディオインターフェースに負担がかかります。
最悪の場合、故障するリスクもあります。
②音割れは修正できない
録音時に歪んでしまった音は、ミックスでもマスタリングでも直せません。
専用の高額ソフト(10万円前後)を使っても完全には復元できません。
音が小さくても問題ありません。後から音量は自由に上げられます。
迫力が足りないと感じるなら、ヘッドフォンのボリュームを上げるか、オケの音量を下げるようにしましょう。
録音時は「クリッピングしない範囲でゲインを設定する」これが鉄則です。
2. 音圧を上げすぎない
しかし、上げすぎると音質が劣化することを理解しておきましょう。
10〜20年前はいわゆる「ラウドネス(音圧)戦争」が起きていました。
どの曲が一番大きい音を出せるかを競っていた時代です。
ですが、今はSpotifyやApple Musicなどストリーミングが主流。
各サービスには音圧の上限(ラウドネスノーマライゼーション)が設定されており、それを超えると自動で音量が下げられます。
結果、せっかく作ったダイナミクス(抑揚)が潰れてしまうのです。
音圧は各サービス推奨の値(例:LUFS -14前後)を目安に、バランスを取りましょう。
また、音圧をあえて上げないことで得られる「ダイナミクスの豊かさ」もあります。
クラシックやアコースティック系では、むしろそのほうが魅力的な場合も多いです。
3. 大きすぎる音でミックスしない
そのため、爆音でミックスしたくなる気持ちはわかります。
ですが、リスナーはそんな大音量では聴いていません。
多くの人はイヤホンやスマホスピーカーで音楽を聴きます。
つまり、爆音でミックスしても、その感動はリスナーには伝わらないのです。
確かに低音(特に100Hz以下)をチェックするには、ある程度の音量が必要です。
しかし、超低音だけにこだわって爆音で作業するのは本末転倒。
ボーカルやメロディの聴きやすさを最優先にしましょう。
低音を細かく確認したい場合は、一時的に音を上げるか、「スペクトラムアナライザー」など視覚的なツールを使うのがおすすめです。
4. ピッチ補正をかけすぎない
いわゆる「ケロケロボイス」です。
Fear, and Loathing in Las Vegasのように意図的に使う場合はOKですが、ナチュラルに聴かせたいときはやりすぎ注意。
特にリスナーは「歌の違和感」にとても敏感です。
少しでも不自然に聞こえると、曲の印象そのものが悪くなってしまいます。
また、ピッチ補正は「補助ツール」であって「修正魔法」ではありません。
半音以上ズレた歌やリズムが崩れたボーカルは、練習で改善すべきです。
理想は「軽い補正で整う歌を録る」こと。
ナチュラルメイクのように、やりすぎず上品に補正するのが一番美しいです。
「ミックスで歌はいくらでも上手くなるんでしょ?」と思っているボーカリスト志望の方、歌い手を目指している方は要注意です。
元の歌が良くないと、どんなにミックスを頑張っても“上手く”は聞こえません。
もし本当にミックスで誰でも上手くできるなら、全人類が歌うまです。
ミックスは“魔法”ではなく、もともと歌える人をより魅力的に聴かせるための味付けです。
録音前の段階で、ピッチ・リズム・表現力をしっかり磨いておくことが、何よりの近道です。
5. 機材にこだわりすぎない
DTMをやっていると、つい「もっといい機材を買えば音が良くなる」と思いがちですよね。
しかし、機材は実力を引き出す道具であって、実力を上げるものではありません。
たとえば実力が40の人が、パワー100の機材を買っても、40の力しか発揮できません。
一方で、実力100の人が同じ機材を使えば、100を引き出せます。
つまり、機材は「等倍」ではなく「増幅」ではなく「反映」なんです。
新しい機材を買うのは、「今の機材を使いこなせてから」。
例えば、「もっとアタックが鋭いコンプが欲しい」など具体的な理由が出てきた段階で購入するのがベストです。
無計画に機材を買い足すよりも、自分のスキルを上げる投資を優先しましょう。
補足~YOASOBIのAyaseさんを語る
筆者は、YOASOBIのAyaseさんが大好きです
好きな理由はいくつもありますが、特に刺激を受けるのは投稿初期の曲のクオリティです。
正直、音質はお世辞にも良いとは言えません。
おそらく純正プラグインと初音ミクだけで作られた、必要最低限の環境だったと思います。
それでも曲がいい。
つまり、「良い音質=良い曲」とは限らないんですよね。
(※もちろん、作曲のセンスや構成力があることが前提ですが)
たまに「もっと良い機材があれば」「お金さえあれば」と言い訳をする人がいますが、実際は最低限の環境でも曲は作れます。
もし限られた環境で悩んでいるなら、次の3段階で考えてみてください。
- まずは“曲としての形”を作る
- 次に、編曲のクオリティを磨く
- 最後に、音質やミックスを追求する
でも、それを理由に立ち止まるのはもったいない。
作曲家を目指すなら、まずは 「曲として形を作る力」を高めること。
Ayaseさんが評価されたのは、何よりも「曲として形を作る力」に優れていたからだと思います。
ボカロPとして活動していたころ、小説をテーマにした楽曲制作の話が持ち上がり、それがYOASOBI誕生のきっかけになりました。
つまり、才能の根底にあるのは「音のクオリティ」よりも、曲として完成させる力。
この基礎があったからこそ、後の成功につながったのだと思います。
最近DM等で作曲機材は何を使ってますか
的なご質問を多く頂くのでPC↓
・MacBook pro (2010)
ヘッドフォン↓
・audio-technica(ATH-M40x)
DAWソフト↓
・logic pro xだけです。
ご飯食べるテーブルに
PC置いて作ってます。
最低限すぎる質素な環境だけど
やる気さえありゃ
なんとでもなるかな、と pic.twitter.com/LiZCVQyyWK— Ayase (@Ayase_0404) September 2, 2019
まとめ
以上、「DTMでやってはいけないこと5選」を紹介しました。
- 入力ゲインを上げすぎない
- 音圧を上げすぎない
- 大音量でミックスしない
- ピッチ補正をやりすぎない
- 機材にこだわりすぎない
これらを意識するだけで、あなたのDTMスキルは確実に伸びていきます。
僕自身、過去に同じ失敗をたくさんしてきたからこそ、心から伝えたい内容です。
焦らず、一歩ずつ。
DTMライフを一緒に楽しんでいきましょう!

