音楽を「聴くもの」ではなく「見せるもの」として昇華させたアーティストたちがいます。
彼らはサウンドだけでなく、ファッション、パフォーマンス、ビジュアルすべてを使って“音楽=アート”を体現しました。
本記事では、唯一無二の世界観で今なお語り継がれる異端のアーティスト3人、クラウス・ノミ、グレイス・ジョーンズ、リー・バウリーを紹介します。
常識を超えた表現に触れることで、「芸術とは何か」を改めて考えさせられるはずです。
1. クラウス・ノミ(Klaus Nomi)
宇宙から来たオペラ歌手
1970〜80年代のNYアートシーンに突如現れた、異星人のようなオペラ歌手クラウス・ノミ。
真っ白な肌、鋭角的なメイク、黒と白の幾何学的コスチューム、その姿はまるで人間とアンドロイドの中間。
しかし見た目だけでなく、圧倒的な歌声でも注目を集めました。
クラシックのベルカント唱法で歌い上げるオペラアリアを、シンセポップやニューウェーブに融合。
「音楽がアートになる」とはこのこと。
デヴィッド・ボウイとも共演し、のちのビジュアルアーティストたちに大きな影響を与えました。
彼が残した世界観はいま見ても時代を超えた未来感があります。
ちなみに塩の魔神のもとにもなったアーティストです。
めちゃくちゃいい写真。#醤油の魔人と塩の魔人 pic.twitter.com/K8hwbRN27W
— 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) September 26, 2020
2. グレイス・ジョーンズ(Grace Jones)
ジェンダーも常識もぶち壊すカリスマ
“見た目がヤバい”アーティストの代名詞とも言える存在が、グレイス・ジョーンズ。
モデル、歌手、女優、すべての分野で革命を起こした唯一無二の存在です。
80年代のアートワークを象徴する、アンドロジナス(中性的)なルックスと攻撃的なファッション。
アーティストのジャン=ポール・グードとのコラボにより、ファッションと音楽を融合させた“ビジュアルの暴力”とも言える表現を展開しました。
彼女のライブは、ただのステージではなくパフォーマンスアートそのもの。
強烈な個性と自己表現を貫くその姿勢は、現代のレディー・ガガやFKA Twigsにも通じます。
3. リー・バウリー(Leigh Bowery)
ファッションと肉体をキャンバスにした怪物
ロンドンのクラブシーンを中心に、“美”の概念を破壊したパフォーマンスアーティスト。
リー・バウリーは、自身の体を“素材”として使い、奇抜すぎる衣装とメイクで観る者の価値観を根底から揺さぶりました。
全身をラテックスで覆う、顔の形が分からないマスク、謎の巨大なボディスーツ。
そのスタイルは一見「悪夢のよう」ですが、彼にとっては純粋な自己表現。
アート集団「Taboo」での活動や、ファッションデザイナーとしての実験的作品群は、アレキサンダー・マックイーンをはじめ、のちの多くのデザイナーたちに影響を与えました。
“気持ち悪い”と“美しい”の境界を行き来する彼の世界観は、今なお現代アートの教科書に載るレベルの衝撃です。
まとめ
クラウス・ノミ、グレイス・ジョーンズ、リー・バウリー。
3人に共通するのは、「音楽=聴くだけのもの」という固定観念を完全に壊したこと。
彼らにとって表現とは、「音楽」でも「ファッション」でもなく、“生き方そのもの”でした。
だからこそ、今見てもその姿は古びず、むしろ「未来から来た人間」のように感じられます。

