今回は、名曲から学ぶ打ち込みギター講座です。
題材は、マイケル・ジャクソンの名曲「Rock With You」。
R&Bやファンクで定番となるギターカッティングを、DTMで再現しながら解説していきます。
この曲で印象的なカッティングを演奏しているのは、数々の名演を残したギタリスト David Williams。
シンプルなフレーズですが、
- なぜ気持ちよく聴こえるのか
- カッティングの考え方
- DTMで再現するコツ
これらを解説します。
使用機材
今回使用する機材はこちらです。
- 打ち込みギター:Ample Guitar
- アンプシミュレーター:AmpliTube 5
- 楽譜ソフト:Guitar Pro
今回はすべて有料製品を使用しています。
個人的な意見ですが、ギターは打ち込み楽器の中でも特に再現難易度が高いパートです。
その理由は、単純なベロシティだけでは表現できない要素が多いからです。
- ピッキングの強弱
- アーティキュレーション
- ミュート
- タイミングの揺れ
こうした細かな要素が演奏のリアルさに大きく影響します。
もちろん無料音源でも制作は可能ですが、リアルさを追求するほど作業量や調整量は増えやすくなります。
リアルなギター打ち込みを目指すなら、ある程度機材へ投資する価値は十分あると思います。
今回の流れ
今回の作業工程はこちらです。
② データを書き出してAmple Guitarへ読み込む
③ Ample Guitarを調整する
④ MIDIデータを調整する
⑤ アンプで音作りする
⑥ ミックスで馴染ませる
- カッティング特有のノリ
- ミュート感
- 人間らしい演奏感
これらを意識しながら、「Rock With You」のグルーヴを再現していきます。
Guitar Proでフレーズを採譜する
まずはGuitar Proでフレーズを採譜します。
Guitar Proは楽譜制作ソフトです。
名前に「Guitar」と付いていますが、実際にはさまざまな楽器の譜面制作に対応しています。
筆者はギタリスト出身ということもあり以前から使っていますが、DTMとの相性も抜群です。
特に便利なのが次の2点です。
- TAB譜で入力できる
- Guitar ProデータをAmple Guitarへ直接読み込める
普段ギターを打ち込む際も、いきなりDAWへ入力することは少なく、まずGuitar Proで譜面化してからMIDI化しています。
ギター打ち込みが難しい理由は、奏法の選択肢が非常に多いからです。
- どの弦で弾くか
- どのポジションを使うか
- ミュートするか
- カッティングするか
- スライドするか
同じ音程でも、弾き方が違うだけで印象は大きく変わります。
ギターをリアルに再現したい場合は、まず譜面として整理しておくのがおすすめです。
結果的に修正もしやすくなり、作業効率も向上します。
今回のフレーズで重要な奏法
今回のフレーズで特に重要なのはこちらです。
- ダウンピッキング
- アップピッキング
- ブラッシング(ミュート音)
入力作業は少し増えますが、ここまで作り込んでおくと後工程がかなり楽になります。
Ample Guitarへ読み込む
次に、作成したデータをAmple Guitarへ読み込みます。
Ample Guitarには、Guitar Proデータを直接読み込める便利な機能があります。
これが本当に便利です。
通常であれば打ち直しが必要な作業を大幅に省略できます。
操作も非常にシンプルなので、一度覚えてしまえば手放せなくなると思います。
特にフレーズ数が多い楽曲ほど恩恵を感じやすいでしょう。
各種調整を行う
続いて調整作業です。
ここでは、
- Ample Guitar側の設定
- 読み込んだMIDIデータ
この2つを調整していきます。
具体的には、
- ギター本体の設定
- アーティキュレーション
- ベロシティ
- タイミング
このあたりを追い込みながら、打ち込み感を減らしていきます。
ギターは音を並べただけだと機械的になりやすいため、人間らしいニュアンスを作る工程が非常に重要です。
R&Bカッティングのポイント
このフレーズは、コードを鳴らしているというよりも「リズムを弾いている」感覚に近いです。
特に重要なのはミュートです。
ポイントはこちら。
- コードを全部鳴らさない
- 左手ミュートを多めに使う
- ダウンアップを均一にしすぎない
- アクセントだけ少し強調する
- 16分音符を機械的に並べない
実際には、鳴っている音よりも「鳴っていない部分」がグルーヴを作っています。
キレのあるミュートを意識するだけで、一気にR&Bらしさが出てきます。
打ち込みでは次のような調整がおすすめです。
- ベロシティを70〜80前後で揺らす
- タイミングを±5〜10ms程度動かす
- ミュート部分の音価を短くする
逆に、すべてを100%クオンタイズすると機械的な印象になりやすいので注意しましょう。
AmpliTube 5で音作り
続いてアンプで音作りを行います。
Ample Guitarにもアンプやエフェクトは搭載されているため、内蔵機能だけでも十分に音作り可能です。
ただ今回は、さらに細かく追い込みたいのでAmpliTube 5を使用します。
AmpliTube 5では、
- アンプ
- キャビネット
- マイク
まで細かく調整できます。
そのため、カッティング特有の抜け感やアタック感を作り込みやすくなります。
ミックスで馴染ませる
最後はミックスです。
ギターは単体で気持ちいい音と、楽曲全体で気持ちいい音が必ずしも一致しません。
特にカッティングギターは主役ではなく、グルーヴを支える役割になることが多いです。
今回意識したポイントはこちら。
- 左右へ広げて立体感を作る
- 低域をカットしてベースやキックと住み分ける
この2点を意識するだけでも、かなり自然に馴染みます。
まとめ
ポイントをまとめると、
- まずはGuitar Proで採譜する
- Ample Guitarへ読み込んで効率化する
- 奏法やベロシティで人間らしさを作る
- アンプとミックスで馴染ませる
- コードよりもリズムとミュートを意識する
ギターカッティングは、音数を増やすよりも「止め方」を意識したほうがグルーヴを作りやすくなります。
今回紹介した考え方は、
- R&B
- シティポップ
- ファンク
- ボカロ楽曲のギター打ち込み
などにも応用できます。
ぜひ自分の楽曲制作でも試してみてください。
今回の記事はここまでです。
